プロトテアトル

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通し稽古を終えて。インタビュー形式で今回の公演について、

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FOペレイラ宏一朗

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話し手:F.O.ペレイラ宏一朗

〇今回、竹内銃一郎さんに依頼した経緯を教えてください。

―プロトテアトルは元々近畿大学の同級生で旗揚げしたんですが、在籍していた舞台芸術専攻の教授のお一人が竹内先生で、豊島さんとか、小島さんとか、 伊藤さんとかは、授業公演で竹内先生の演出も受けています。数年前に豊島さんが、竹内先生の作品に出演する機会がありまして、ちょうどそのタイミングで、プロトテアトルとして今後、劇団を続けていく中で、僕以外の戯曲も上演したいという話もしていて、誰の戯曲を上演したいか、という話の中で「竹内先生じゃないか」と。
「戯曲を書いてもらえませんか?」とお願いをしたところ、2つ返事でOKをいただきまして。

〇竹内作品の魅力はどこだと感じていますか?

―竹内さんの戯曲は、コケティッシュな雰囲気だったりとか、戯曲自体の手数が多いっていうところもそうなんですけど、演劇的構造だけじゃなく、物語として読んでても美しいなって思います。もちろん上演されたものもそうです。その美しさっていうのは、整えられてるっていうこともそうなんですけど、人間の醜い部分とかもしっかり込められてるような気がしてて、と思ったらそこを滑稽に笑い飛ばしたりとか。「いやいや、人間はこれぐらい醜いもんだ!それがどうした!」って言われている気がしてて。
学生時代から僕も当たり前のように歳を重ねましたが、当時よりも、今読むともっと面白く戯曲を読むことができて、凄いなぁって。

〇今回、戯曲提供をお願いするにあたって何かオーダーを出されたのですか?

―基本的には会話劇っていうことはお願いしてまして、あとは俳優の人数はこれぐらいでやりたいってことをお伝えしました。特に、劇団員が、誰々が出ますみたいな感じのお話をさせてもらって。

〇劇団員をイメージして書いていただいた部分もあるんですか?


―そうですね。特に豊島さんと小島さんに関しては、在学中から竹内先生はご存じなので、戯曲を拝見して自然と「この登場人物、この人が演じたら面白そうだな・・・。」とイメージしていました。後々「配役をこんな感じでしようと思ってるんです」ってお伝えしたら、
「おう。そうだよ。よくわかったな。」と(笑)

〇最初、戯曲をもらった時の印象があれば教えてください。

―最初に台本もらった時の印象は、ぶっちゃけすごく難しい戯曲だなと思って。というのも、話の主軸自体はすごくあるんですけど、演出によってどこを主軸にするかで印象がかなり変わるし、でも割と表にどこが主軸となっているか、クリティカルに出てくる感じではないなと思いまして。・・・そうですね。難しい。一言では言い表せない“怪しさ”が強くありました。

〇今回のプロトテアトルでは複数人の方が演出部に参加されています。小劇場ではあまり行われない形と思いますが、どのような経緯でそうしようと思われたのですか?

―プロトテアトルでは僕が基本的に作、演出を兼ねているので、割と自分の「作りたい物を作る」っていうところから始まったんですけど、作り続けている中で、自分で作品を決めつけて、「この作品はこういう風にならなければいけない」と、強烈な思い込みで創作しているのではないかと疑問を感じるようになりました。
自分が最初に思い描いたものから、離れられないというか、囚われてしまってる部分があって・・・。創作を引き算で考えてしまってたんですね。その違和感がどんどん大きくなって。稽古の時も出来るだけ客観的にと意識してるんですけど、どう足掻いても頭の中で自問自答するだけでは余計なバイアスがかかっているなと。で、僕が客観的に考えるように努力するよりも、実際に客観的に作品を見て頂ける人が他に何人もいてくれれば解決するのでは?と思いまして。劇団員の有川さんも演出助手という形でついてくれてたんですけど、2019年に『レディカンヴァセイション』を創作する際に、劇団員ではない吳光倩さんにドラマトゥルクという形で関わっていただいただきまして。ポジションとして劇団員や出演者以外の人に稽古場に常駐してもらえるってことがなかったんですけど、吳さんから客観的なフィードバックがあると、自然と俳優さんからもその部分についてフィードバックが増えるようになって。「こういう創作がしたかったんだ!」と。

〇ちなみに、今回、演出部はどのような形で集められたんですか?

―制作の鶴山さんが声をかけてくれた人たちもいますし、公募という形で、Twitterで演出部募集を告知したら多くの人にご応募いただきまして。スケジュールの関係で、残念ながらお断りさせていただいた方もいらっしゃいます。

〇今回はどんな方がいらっしゃいますか?

―ご自身の団体で演出をされてる方が多いですね。僕も今回初めまして一緒の座組になる方々なんですけど、立ツ鳥会議の植松さん、ちゅ~ぺっとの赤井さん、自由バンドの健康さん、ナハトオイリアの桒田さんもそうだったかな?あと新劇団員の伊藤さんも学生時代に自分で団体を立ち上げて作・演出をやられていたので、そういう意味で、皆さんご自身の演出の手触りの違いとか、もどかしい瞬間とかもあるんじゃないかなと思うんですけど、それも含めて、色々フィードバックしてもらえるのが、やっぱり新鮮で面白いなと思います。

〇プロトテアトルも10周年ですが、今のお気持ちはいかがですか?

―旗揚げした頃なんて、「10年続くって老舗じゃない?」みたいに思ってたんですけど、気付いたらあっという間ですね。色々大変なこともあったし悲しいことも楽しいこともあったし・・・。まあでも、なんか目の前のやらなきゃいけないこととか、やりたいこととか、追いかけてたら、気づいたら10年続いてるっていう感じですね。

〇プロトテアトルはそもそもどういう経緯で旗揚げされたんですか?

―はじまりは大学の2回生の時にプロトタイプっていう団体名で短編作品を作ったことがあって。その一年後に、大学の先輩の井上大輔さんに、イベントで短編作品上演しないかって誘われて、一緒に作品を作りたい人を誘ってプロトテアトルと名乗って、宗右衛門町にあるライブバー「かつおの遊び場」で上演させてもらいました。その時点で劇団化も考えてたんですけど、その座組の一人が「演劇は大学まで」って決めてると話していて、提案はしませんでした。そこからまた1ヶ月後に、同じイベントに井上さんに呼んでもらえて、座組が少し変わって、また作品をプロトテアトルっていう名義で作って、勢いで旗揚げになりましたね。

〇その当時、10年後、今の姿は想像出来ていましたか?

―全然想像はしてなかったです。すげぇ尖ってたし(笑)・・・でも、予想ができてたらつまんないし、いいんじゃないですかね。

〇今後のプロトテアトルの展望として、どのようなことを考えていますか?

―そうですね、例えば新しく入った伊藤さんと鶴山さんは、劇作家として、それぞれ活動もされていたので、本人達が自分の戯曲をやりたいってなったらやりたいし、僕が演出するしない関係なく、プロトテアトルとして、今回の公演のように僕以外の作品もどんどん上演していきたいですね。もちろん、演出家だからとかじゃなく、ヤマナカさんや、他の人から色んな企画、提案があれば上演していきたいです。そもそもプロトテアトル自体が、“劇場”という意味も込めて名前をつけたので、プロトテアトルという場所で、いろんな演劇が上演できるように、これから大きな器になっていければいいなって思います。

〇最後に公演の意気込みを教えてください。

―竹内先生の戯曲、もちろんよく読ませてもらっているんですが、今回は結構珍しいタイプの戯曲なんじゃないのかなと思っています。もちろんエッセンスとか雰囲気、軽快でスラップスティックな感じはあるんですけど。竹内先生が最近見て楽しかったものが詰め込まれてるのかな。そこを崩さずに、この作品を今この場所で、この時代で、今生きている我々が上演して、今生きてる人たちに見てもらう意味っていうのを大事に作っていけたらなと思います。楽しく演出させていただいているので、それが伝わると嬉しいですね。

※演出部について
プロトテアトルでは、「演出部」という名称で、主に演出家と同じ目線から作品についてフィードバックを行うポジションを設けております。
他団体などで見られる「演出部」とは関わり方に相違があります。

2023年5月31日 聞き手:鶴山聖

プロトテアトル第12回本公演『悲しき玩具 Bang Bang』
公演情報はこちら


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